ジョブ・クラフティング(Job Crafting)

**ジョブ・クラフティング(Job Crafting)は、心理学者のエイミー・レズネスキー教授らが提唱した理論です。一言でいうと、「与えられた仕事をただこなすのではなく、自分で主体的に再定義して『やりがいのあるもの』に作り替えること」**を指します。

キャリアカウンセリングでは、相談者が「今の仕事に閉塞感を感じているけれど、転職は難しい」という場合に、現状打破のヒントとして非常に有効な視点です。

ご質問の3つの要素を詳しく解説します。


目次

ジョブ・クラフティングの3つの次元

1. 作業クラフティング(Task Crafting)

「仕事のやり方や、内容そのもの」に手を加えることです。

自分の強みや興味に合わせて、業務の範囲、手順、時間の使い方を調整します。

  • 具体例:
    • 資料作成の際、ただ数字を並べるだけでなく、自分が得意なグラフ化を多用して「伝わりやすさ」を追求する。
    • 新しいソフトを導入して、ルーチンワークを自動化・効率化する時間を自ら作る。
    • 自分の専門性を活かせる新しいプロジェクトに、自ら手を挙げて参加する。

2. 人間関係クラフティング(Relational Crafting)

「仕事で関わる人や、その接し方」を調整することです。

誰と、どの程度の頻度で、どのような距離感で接するかを工夫し、人とのつながりから活力を得ます。

  • 具体例:
    • 普段関わりの少ない他部署の人に積極的に声をかけ、情報交換の場を作る。
    • 苦手な上司とのやり取りを、メール中心から対面での短い挨拶に変えて心理的な壁を下げる。
    • 後輩の育成に積極的に関わることで、自分自身の「教える喜び」や「頼られる実感」を得る。

3. 認知クラフティング(Cognitive Crafting)

「仕事に対する捉え方・意味付け」を変えることです。

作業自体を変えるのではなく、**「自分は何のためにこの仕事をしているのか」**という解釈(フレーム)を広げます。

  • 具体例:
    • 「自分は単にデータを入力している事務員だ」→「自分は経営判断を支える重要な情報を提供しているプロフェッショナルだ」と捉え直す。
    • (有名な石切職人の例え)「ただ石を削っている」→「多くの人の心を癒やす大聖堂を造っている」と考える。
    • 嫌なクレーム対応を「怒鳴られる嫌な仕事」から「顧客の深層心理を学ぶリサーチの機会」と定義し直す。

3つのクラフティングのまとめ

種類アプローチ変化させる対象
作業行動を変える仕事の量、内容、進め方
人間関係繋がりを変える関わる人、頻度、コミュニケーションの質
認知思考を変える仕事の目的、意義、価値の解釈

キャリアカウンセラーとしての活用のヒント

この3つは、「どれか1つから始める」のがコツです。 特にお勧めなのは「認知クラフティング」です。行動(作業や人間関係)を変えるのは環境的な制約がある場合もありますが、「どう考えるか」は今この瞬間から、自分一人の意思で変えられるからです。

更新研修の課題では、最初の質問にあった「あなたがチャレンジしたい行動」を、この3つの視点で具体化してみると、非常に説得力のある回答になるはずですよ。

例えば、**「新しい学習(チャレンジ)」**を例にすると…

  • 作業: 毎日30分、学習時間をタスクとして組み込む。
  • 人間関係: 同じ勉強をしている仲間とSNSでつながる。
  • 認知: 「これは単なる暗記」ではなく「相談者の笑顔を増やすための自己投資」と捉える。

といった具合です。

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