Linux C++で、window を表示できる GUIライブラリの種類と特徴を解説

LinuxでC++を使ってGUIアプリケーションを開発する際には、いくつかの代表的なGUIライブラリがあります。それぞれに特徴や用途があるので、以下に代表的なライブラリとその特徴を解説します。


目次

🔷 1. Qt

特徴:

  • クロスプラットフォーム対応(Linux, Windows, macOS, モバイル)
  • モダンで豊富なウィジェットとGUI部品
  • 独自のシグナル・スロット機構でイベント処理が簡単
  • デザインツール(Qt Designer)やIDE(Qt Creator)が充実
  • 商用・オープンソースライセンスあり

向いている用途:

  • デスクトップアプリ全般(ツール、エディタ、設定画面など)
  • 複雑なUIが必要な業務アプリや組込み機器

🔷 2. GTKmm(GTK+のC++バインディング)

特徴:

  • GNOME環境で使われるGTK+のC++ラッパー
  • Linuxとの親和性が高い
  • C++らしいクラスベースの書き方が可能
  • 軽量・高速

向いている用途:

  • GNOME向けのデスクトップアプリ
  • ネイティブなLinux体験を重視したアプリ

🔷 3. wxWidgets

特徴:

  • クロスプラットフォーム(Linux, Windows, macOS)
  • ネイティブのウィジェットを使うため、各OSに自然に見えるUI
  • C++で書かれていて、ラッパーではなくフルC++の設計
  • 商用アプリにも無料で利用可能(寛容なライセンス)

向いている用途:

  • 複数OSで動作させたいツール系アプリ
  • ネイティブな見た目を重視するアプリ

🔷 4. FLTK(Fast Light Toolkit)

特徴:

  • 超軽量で高速
  • 単一バイナリで配布が容易(依存が少ない)
  • GUI機能はシンプル
  • クロスプラットフォーム(Linux, Windows, macOS)

向いている用途:

  • 軽量ツール、教育用途、科学技術ツール
  • 小さなGUIユーティリティ

🔷 5. ImGui(Dear ImGui)

特徴:

  • 「即時モードGUI(Immediate Mode GUI)」という方式
  • デバッグツールやゲームエンジン向けGUIに最適
  • 外観はシンプルだが、操作性重視で開発が速い
  • 通常のGUIアプリには向かない(ウィンドウ管理などが貧弱)

向いている用途:

  • ゲームや3DアプリのデバッグUI、ツール
  • データビジュアライザー、設定パネルなど

🔷 6. EFL(Enlightenment Foundation Libraries)

特徴:

  • Enlightenmentウィンドウマネージャ由来のGUIライブラリ
  • 高速でモダンなUIが構築可能
  • Linux向けに最適化されている

向いている用途:

  • 組込み機器のUI(例:スマートデバイス)
  • 軽量でカスタマイズ性が高いUIが必要なアプリ



🔷 7. SDL(Simple DirectMedia Layer)

特徴:

  • クロスプラットフォーム(Linux, Windows, macOS, Androidなど)
  • 低レベルなAPIで、ウィンドウ表示・入力処理・音声再生・グラフィックス描画が可能
  • GPU対応(OpenGL / Vulkan)で高速
  • GUI部品(ボタンなど)は自分で実装が必要(ImGuiなどと組み合わせることが多い)
  • ゲームエンジンやマルチメディアツールのベースとして広く使われている

向いている用途:

  • 2D/3Dゲーム
  • マルチメディアアプリ
  • 自作GUIの基盤として(カスタムUIが作りたい場合)

🔁 比較まとめ表(SDLを含む):

ライブラリクロスプラットフォーム特徴主な用途
Qt高機能・豊富なウィジェット一般的なGUIアプリ
GTKmm△(Linux向けが主)GNOME向け、軽量Linuxネイティブアプリ
wxWidgetsネイティブUI、寛容なライセンスクロスOS対応のGUIアプリ
FLTK超軽量、依存少、UIはシンプル小規模なツールや教育用
ImGui即時モードUI、デバッグ向きゲーム・エディタ系のUI
EFL△(主にLinux系)軽量かつモダン、組込み向けスマートデバイス、Linux UI
SDL低レベルAPI、描画・入力・音声対応ゲーム・マルチメディア基盤

💡補足:SDL + ImGui

SDLはGUI部品を自前で実装する必要がありますが、Dear ImGuiと組み合わせて使うのが一般的です。SDLが「土台(ウィンドウ・イベント管理)」、ImGuiが「見た目と操作系」を担うイメージです。


興味があるライブラリや、「ゲームっぽいUIを作りたい」「シンプルな設定画面を作りたい」といった用途があれば、それに合う選び方もアドバイスできますよ。どんな用途を考えてますか?

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